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M&A辞典

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ア行

アーニング・マルチプル・レシオ(Earning Multiple Ratio) 傾向値、すなわち、同じ業界での過去の企業買収の取引例が多数存在し、かつ、その取引価格と買収対象会社の税引き後純利益との関係がほぼ一定であるといったある種の傾向がみられる場合のその比率。業界の相場として捉えることができる。
アービトラージ(裁定取引) 割安な資産を購入すると同時に、割高な資産の売却を行い、無リスクで差益を得る取引。
アービトラージャー(Arbitrager) 買収が見込まれる企業を捜し、その株式を購入し、買収が成立して株式を売却したときの利益を狙って、売買取引を行う者。買収が仕掛けられると、買収プレミアムを見込んで株価は上昇し始め、買収が成立した時点で、買収価格と市場の価格がほぼ一致するようになっている。したがって、この売買取引も一種の裁定取引であるが、買収が必ずしも成功しないリスクがあるため、M&Aの場合、特に「リスク・アービトラージ」と呼ばれている。
アーン・アウト・ディール(Earn Out Deal) アーン・アウト・ディールとは、企業買収を「分割払い」で行う際の取引契約を指す。一度に対象企業を100%買収するのではなく、まず50%などで買収し、翌年に利益目標達成率などに応じた残金を支払うなどの約束条項を買収契約書に盛り込む。分割払いがとられる理由は、買い手側が自らのリスクを軽減させるためであり、最終買収契約書で売り手との間にいくつかの条件を設定し、それが一定期間内に満たされた場合にのみ、あらかじめ定められた買収価格代金を支払う旨の約束をする。このような追加代金の支払い義務のことをアーン・アウトと呼ぶ。米国の買収実務では非常によく用いられる手法である。特に、大企業がベンチャー企業などの成長企業を買収する時に一般的な手段。(エスクローの項参照)
アウト・イン(out-in) 海外企業による日本企業の買収をいう。
アクィジション(Acquisition) M&Aの項を参照。
アセット・パーチェス(Asset Purchase) 資産買収(営業譲受)とは、被買収会社の資産の全部または一部、及びこれに関係する負債の一部を選択的に組み合わせて、個々の財産を売買取引の形で買収することをいう。(逆にこのような財産を譲渡することを営業譲渡という。)個々の財産は契約により個別的に移転するため、それぞれの手続きが必要であり、合併のように被買収会社の財産が包括的に継承されて法人格の合一化をきたすということはない。(「営業」の項参照。)
アドバイザー M&Aの仲介及び手続き上の助言を行う会社およびプレイヤーのこと。機能としては相手先を探索するほか、M&A手続きに関する助言、弁護士・税理士等との調整、M&A全体の進行管理を行う。
イソップ(ESOP:従業員持株制度) Employee Stock Ownership Planの略。従業員の財産形成や共同体意識醸成のため、会社が従業員に奨励金等の便宜を与えて自社株の取得・保有を奨励する制度で、税務上の恩恵がある。この従業員持株会の基金が、企業買収の資金源となる場合がある。
一枚モノ M&Aを希望する会社の概要をまとめたものをいう。大抵A4用紙に1枚程度なので一枚モノと呼ばれる。秘密保持のため、これを見ても会社を特定できないように加工している。
委任状合戦 プロクシー・ファイトの項を参照。
イン・アウト(in-out) 内国企業、すなわち日本企業による海外企業の買収をいう。
イン・イン(in-in) 内国の企業同士、つまりわが国では日本企業による日本企業の買収をいう。
インカム・アプローチ(Income Approach) 企業価値評価の手法の中の配当還元方式、収益還元方式、DCF法、APV法等の総称。他にコスト・アプローチやマーケット・アプローチがある。
インキュベーター (incubator) 将来有望なベンチャー企業や若い起業家に対して、企業を軌道に乗せるまで、施設、設備機器、資金等々の経営面でのサポート、資金面での支援などを行う組織。
インサイダー取引 (Insider Trading) 会社の内部者情報に接する立場にある会社役員等が、その特別な立場を利用して会社の重要な内部情報を知り、その情報が公表される前に当該会社の株式等を売買すること。内部者取引ともいう。このような取引が行われると一般の投資家との不公平が生じ、証券市場の公正性・健全性が損なわれる恐れがるため、証券取引法において規制されている
インベストメント・バンク(Investment Bank) 米国の投資銀行のことで、株式・債券・デリバティブなど幅広い金融商品を扱う。
ウィリアムズ・アクト(Williams Act:ウィリアムズ法) 株式の公開買付けを規制するため、米国で1968年に制定された連邦法。公開買付けのオファーを受けた株主が充分な検討をすることができるように、公開買付けをしようとする者に関係資料をSECなどに提出させること、公開買付期間を最低20日とすることなどが定められている。これによりサタデー・ナイト・スペシャルなどの、不意打ちの乗っ取り計画は封じ込められた。さらに同法により、ある企業の株式を5%以上取得した場合に、SECへの報告が義務づけられた。この報告の猶予期間は10日間であった。しかし、この期間をさらに短縮する動きが出た。乗っ取り屋が秘かに安価で株式を買い占めることが、ますます困難になってきている。
営業 わが国の商法では、「営業」の意義を単に営業用の財産だけではなく、取引先・技術・ノウハウ・従業員など、一定の目的のために組織化され有機的一体として機能する財産をいうとされている。
営業権 買収価格が被買収企業の純資産額を上回る場合、その差額のことをいう。暖簾(のれん)、グッドウィル(Goodwill)ともいう。
エクイティーファイナンス(Equity Finance) 顕在的または潜在的に新株の増加を伴う資金調達方法。増資、新株予約権付社債、新株予約権の発行がこれにあたる。逆に、銀行借入や社債発行などのように新株の増加を伴う可能性のない資金調達方法をデットファイナンス(Debt Finance)という。
エグジット(Exit) 投資資金を回収することをいう。エグジットの手段としては、株式上場後の株式売却やM&Aによる売却などがある。日本語では出口という。
エスクロー(Escrow) 不動産等の売買において、トラブルを未然に防ぎ、取引当事者相互の信頼感を強固にすることを目的とした制度。売買契約において、一定の契約条件が整うまでは買い手は現金や有価証券等を第三者に預託し、契約条項がすべて満たされたことがその第三者に確認されることを条件として売り手は代金を受け取り、買い手には契約の対象物が引き渡される制度をいう。
黄金株 買収に関わる株主総会決議事項についての拒否権と譲渡制限の付いた株式を1株だけ信頼できる第三者に対して発行しておくもので、「拒否権付株式」ともいう。敵対的買収防衛策としても用いられる。
オフ・バランス 会計上のリスクが存在する取引を貸借対照表(バランスシート)の外に出すこと。事業運営に活用している資産・負債でありながらも、貸借対照表に計上されないため、企業価値を高めることができる。

カ行

会社分割(Divestiture) 既存の会社の部門の全部または一部を、他の会社に包括的に継承させることにより会社を分割すること。不採算部門を切り離したり、あるいは成長部門を子会社として切り離すなどして、経営効率を高めることができる。
加重平均資本コスト WACCの項を参照。
合併(Merger) 一方の会社が他方の会社の権利義務を承継する吸収合併と、複数の会社が会社を新設してそこに権利義務を承継させる新設合併の二種類がある。後者の場合、新しい定款の作成手続きが複雑になり、費用もかかるため吸収合併が多くの場合用いられる。
株価収益率(PER, Price Earning Ratio) PERの項を参照。
株価純資産倍率(PBR, Price Book-value Ratio) PBRの項を参照。
株価倍率法 企業価値評価のマーケット・アプローチの一つで、同業他社の利益、売上、純資産等と市場株価を比較した倍率を用いて企業価値を算定する。
株式移転 M&Aの一つの方法で、買い手企業と売り手企業の株式を新設の共同持株会社の株主と交換することにより、その持株会社の下に両社の事業をおくこと。
株式公開買付(Takeover BidまたはTender Offer Bid ) 経営権を握るために、企業などが公に発表して株式市場を通さずに不特定多数の株主から株式を買い集める方法。その際、買い付ける期間、株数、価格等を明示しなければならない。
株式交換(Stock-for-stock Exchange) M&Aの一つの方法。買い手企業の株式と売り手企業の株式を交換することにより、売り手企業を買い手企業の子会社とすること。
株式資本コスト(Cost of Shareholders’ Equity) 株主期待収益率と同じ。CAPMなどの手法を用いて算出する。
株主価値(Shareholders’ Value) 一般的に、「事業価値 + 非事業資産 ― 有利子負債」で求めた価値のことをいう。
企業価値(Enterprise Value) 一般的に、「企業価値 = 事業価値 + 非事業資産 = 株主価値 + 有利子負債」となる。
企業価値評価(Valuation) 買収企業が被買収企業を買収する際にいくらで買うかを決めるために、インカム・アプローチ、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ等の手法を用いて企業の価額を求めること。
企業理念 企業理念は、英語で「コーポレート・フィロソフィ」と表されるよう に、経営層が持つ経営哲学や世界観等をまとめたもの。企業経営や組織の基本像(原点)を示す。経営理念とほぼ同じ意味で用いられる。
期待収益率(Expected Rate of Return)  資金の出し手から見て、投資額に対してどれくらいの収益が得られると期待するのかをあらわす率のこと。株主は投資をする際に資本コスト(=期待収益率)を頭に入れて投資をする。
基本合意書 レター・オブ・インテントの項を参照。
逆のれん代 買収価格が被買収企業の純資産額を下回る場合、その差額のことをいう。
キャッシュ・アウト・マージャー(Cash-out Merger)  株式ではなく、現金を対価とする合併のこと。この場合、消滅会社の株主は、対価を現金で受け取るので、存続会社の株主にはならない。
拒否権付株式 黄金株の項を参照。
グッドウィル (Goodwill) 営業権の項を参照。
クラウン・ジュエル(Crown Jewel)  企業(=クラウン、王冠)の主要な資産や、有力な事業、技術など(=ジュエル、宝石)のこと。ある企業のクラウン・ジュエルを手に入れることが、M&Aの主要目的となることが多い。敵対的買収に際し、被買収企業がそれらを売却し買収側企業の買収意欲を失わせるという、敵対的買収防衛策として使われることもある。
グリーン・メール(Green mail) 標的企業の株式を株式市場で買い集め、標的企業に買取りを持ちかけるものをいう。ブラックメール(脅迫状)を特に1ドル紙幣の緑色と連想づけて一般にグリーン・メール、買い集める者をグリーン・メーラーと呼んでいる。企業は乗っ取り屋を追い払うために、プレミアムをつけて自社株買戻しを行い、乗っ取り屋は利益を稼ぐ。乗っ取り屋は最後まで買収を行うことが目的であったと言うが、多くの場合、株式買戻しによるプレミアム稼ぎが本来の目的である。
クロージング (Closing) 買い手企業と売り手企業が買収金額やその他条件に合意し、最終契約書を締結の上、買収対価の払い込みをすること。
経済付加価値(Economic Value Added)  EVAの項を参照。
現在価値 (PV, Present Value) キャッシュ・フローを一定の割引率で除して現在の価値に換算したもの。Cf.正味現在価値(NPV)
減損会計 固定資産の時価が大幅に簿価を下回り、含み損が発生した場合に、その差額を損失として財務諸表に反映させる会計制度のこと。
減損テスト 買収後計上された営業権(のれん)を償却していくのではなく、営業権(のれん)が計上された事業の価値を毎年DCF法で算定し、その事業の簿価と比較して減損をチェックすること。
高利回りファイナンシング(High-yield Financing) ジャンク・ボンドによる資金調達の別名。ジャンク・ボンドの項参照。
コーポレート・ガバナンス(Corporate Governance)  企業統治と呼ばれる。企業経営のチェック体制を明確にし、経営者の独断による暴走をけん制し、株主や従業員といったステークホルダーの利害調整をするためのメカニズム。
コーポレート・レーダー(Corporate Raider) 襲撃者、乗っ取り屋のことで、企業経営の支配権獲得を企図すると言うよりも、乗っ取り屋の脅しをかけることにより、取得した株式を高値で売り払って利ザヤを得ることを目的としている。資産価値に比して市場株価の割安な銘柄をひそかに買い集め、保有株式が数パーセントに達した段階で買収公告その他の脅しをかけ、その結果として第三者の買い手を誘い出すか、あるいはグリーンメールで売却し、利益を得る。
ゴールデン・パラシュート(Golden Parachute) 被買収企業の経営陣や役員が買収に際して自分が解任されるあるいは退任する場合に、巨額の退職金もしくは一定期間の報酬がもらえるような雇用契約をあらかじめ会社と結ぶこと。米国ではM&Aが盛んなため、ゴールデン・パラシュートで企業から脱出する経営者も急増した。魅力をなくし、敵対的買収を防衛する手段として使われる場合もある。
国際会計基準(IAS) ご支給ください。
コングロマリット・ディスカウント(Conglomerate Discount) 多角的事業を行う企業を相対的に低く評価する現象のこと。投資家は、株式市場で自らリスクを分散させることができるため、事業内容が複雑な多角的事業を行う企業に投資することを避ける傾向があるという仮説がある。
コントロール・プレミアム (Control Premium) M&Aで企業買収を行う際、被買収企業の過半数の株式を買収できる場合に、経営支配権に対して支払われる上乗せ価値(プレミアム)のこと。
コンフィデンシャル・アグリーメント(Confidential Agreement) 秘密保持契約書。

サ行

財務諸表 一定期間の経営活動の成績とある時点での財政状況をまとめ、外部の利害関係者へ正しく報告するための資料。商法や証券取引法などに定められたルールにしたがって作成される。
三角合併 (Triangular Merger) 子会社が他の会社を吸収合併する場合に、親会社の株式又は現金を対価とする合併のこと。新会社法では三角合併が解禁され(施行は2007年5月から)、これにより外国企業の日本国内の子会社による日本企業買収が行いやすくなる。
産業再生法(産業活力再生特別措置法の略) 事業者による戦略的事業再構築の円滑な推進と創業・新事業開拓の推進、並びに新たな経営資源を生み出す研究活動の活性化を図り、経営資源の円滑な活動を促すことによってわが国経済の生産性を向上させ、産業活力の速やかな再生を目的として平成11年8月13日に公布された法律。
残存価値 (Terminal Value) DCF法による企業価値評価において、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)の予測期間以降に発生するFCFの現在価値のこと。
時価純資産法 企業価値評価のコスト・アプローチの一つで、企業の資産や簿外債務を時価ベースに修正して時価純資産額を算出する方法。
時価総額 (Market Capitalization) 上場株式において、株価に発行済株式数をかけたもので、全株式を金額換算したもの。
事業価値 (Business Value) 事業から将来生み出されるフリー・キャシュ・フローを現在価値に割り引いて求めた総額。
事業承継 会社経営を後継者に引き継ぐこと。後継者がいない場合、M&Aによる会社売却が有効な選択肢となる。
事業譲渡 M&Aの一手法で、企業の営業資産を売却すること。企業の一部の事業部を売却する時等に用いられる。引き継ぐ範囲が限定されているため、簿外債務や潜在的負債を背負い込むリスクはないが、個々の財産、契約等の移転手続きを一つ一つ行う必要がある。
資産買収 事業譲渡の手法で事業を買収すること。
シナジー (Synergy) M&Aにおける買収企業事業と非買収企業事業の相乗効果のこと。一般的に、シナジーが大きければ、買収プレミアムは大きくなる。
資本コスト (Cost of Capital) 株式や借入による資金の調達コスト。資金の提供者が期待する収益率でもある。大きく分けて株主より出資を受ける株主資本コストと、銀行からの融資等による負債コストがある。一般的には、株主資本コスト>負債コストとなる。
資本資産評価モデル(Capital Asset Pricing Model)  個別企業の株式期待収益率(=株式資本コスト)を、リスク・フリー・レート、リスク・プレミアム、ベータ値を用いて求める手法。
シャーク・リペレント(Shark Repellent) 乗っ取り予防の一つの戦術。買収を仕掛ける会社をサメに見立て、これを防ぐ手段で「サメよけ」と呼ぶ。スーパー・マジョリティー条項や、スタッガード・ボードなどがある。
社債 株式会社の資金調達手段の1つ。銀行借入れよりも有利な場合もあるが、そのためには高い信用力が必要。
ジャンク・ボンド(Junk Bond) ”クズ債券”と呼ばれ、格付けでいうと、ムーディーズ社格付けでBa以下、スタンダード&プアーズ社の格付けでBB以下の、元利払いの不確実性が大きいとされる投機的債券のことをいう。リスクは高いが、投資グレード債(格付けの高い債券)よりも高い金利が得られる。そもそもジャンク・ボンドの発行マーケットは小さかったが、債務不履行を起こす確率が投資グレード債より少しだけ高いことを強調した投資銀行ドレクセル・バーナム・ランベールによってマーケットが急拡大した。ジャンク・ボンドは企業乗っ取り屋敵対的買収を仕掛ける企業が巨額の買収資金を短期間に調達するときに発行されることが多い。なお、ジャンクという言葉を嫌って「ハイ・イール(高利回り)・ボンド」と呼ぶこともある。
ジューイッシュ・デンティスト(Jewish Dentist) PR戦術が中心となる買収防衛戦術の一つ。買収者の社会的弱点をマスコミを使って宣伝することによって、イメージ・ダウンを図ったり、買収そのものの意義を減ずるようにし向けること。株主はTOBに応じなくなり、買収は失敗する結果となる。語源は、アラブ資本が入った会社が歯科器具メーカーの乗っ取りを図ったときに使われた防衛策であることから来たものである。米国の歯科医はユダヤ人が多く、この買収にはさまざまな反対が起きたことは想像できよう。
収益還元法 企業価値評価のインカム・アプローチの一つ。配当還元法を変形させた方法で、配当の代わりに利益(当期利益)を資本還元する評価方法。
純資産 (Net Assets) 総資産から負債を差し引いたもので、株主資本のこと。会社解散時に、資産を処分し債務を返済した後に残るのが純資産であるため、純資産額は解散価値とも考えられる。
ショウ・ストッパー(Show Stopper) 有効な買収防衛策の一つ。敵対的買収を仕掛けられたときに、標的企業側で買収を阻止してしまうような法的な障害を見つけたり、作り出すこと。例えば、標的企業が自社に対する買収が実行されれば独占禁止法に触れてしまうように、標的企業が乗っ取り企業と専業分野が競合するような会社を買収してしまうことである。
正味現在価値(NPV, Net Present Value)  企業が将来生み出すフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で除した現在価値の総額。Cf.現在価値(PV)
スーイサイド・ピル(Suicide Pill) 敵対的買収防衛策の一つ。発動された場合、会社を財政的な危機に追い込む類のものをいう。例えば、買収者が30%の株を取得したときには、既存株主は持株を現行市場株価を大幅に上回る額面の社債と変換する権利を得る、など。
スーパー・マジョリティ条項(Super Majority Provisions) 敵対的買収防衛策の一つ。買収・合併など特別決議を要する重大決定を行う際、三分の二から90%以上の株を持つ大株主の賛同が必要であるとするように、決議要件を厳しくする。
スキーム (Scheme) M&Aや資金調達の「手法」のこと。
スコーチド・アース・ディフェンス(焦土戦術:Scorched-earth Defense) 敵対的買収防衛策の一つ。敵対的買収にあった場合、買収側が経営支配権を完全に取得する前に事業資産のほとんどを売却してしまい、後に残るは焦土と化したような魅力のない会社としてしまうことをいう。わが国においては米国のようなドラスティックな例はない。
スタッガード・ボード(Staggered Boards) 敵対的買収防衛策の一つ。全取締役が一度に選出されることがないように、役員の改選任期をずらして一部分だけを選任して交代させる方法。
スタンド・アローン価値(Stand-alone Value)  シナジーによる価値を加えない、単独企業としての買収対象企業の株主価値のこと。単体価値ともいう。
スタンドスティル条項(Standstill Provisions) 再買収停止条項。株式の買戻しを一定期間行ってはいけないとする取り決め。一般的にはStandstill Agreementという。
ステーク・ホルダー 企業の経営活動、企業の存続や発展に対して利害関係を有する個人や法人のこと。具体的には、消費者(顧客)、従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関など、企業を取り巻くあらゆる利害関係者を指す。
ストック・オプション (Stock Option) オプションが実行されるときの市場価格にかかわらず、事前に決められた価格で株式を購入できる権利。企業の経営陣や従業員に対する報酬の一つとして市場価格より有利な価格で自社株購入権を与える企業もある。

タ行

第三者割当増資 (Capital Increase through Third-party Allocation) 特定の第三者に新株を割り当てる増資形態をいう。 会社の役員、取引先、関係金融機関が引き受け先となる場合が多い。M&Aにおいて第三者割当を行う場合は買収会社や資本参加をしようとする会社を第三者として割り当てるということになる。定款に定める授権株式数の枠による制限はあるが、M&Aの手段としてこの方法を利用すると、短期間に経営支配権の移動が可能となる。ただし、資本参加の場合は100%株式取得には至らないので、100%支配するためには発行済株式を既存株主から取得する必要がある。
対等合併 (Merger of Equals) 企業の合併比率を1対1とする合併のこと。経営のリーダーシップが発揮されにくくなる場合があり、最近は少なくなってきた。
チャイニーズ・ウォール(Chinese Wall) インサイダー情報の漏洩や悪用を防止するため、金融機関内部の各セクション間に、情報の防壁を作ること。
超予算モデル 企業内予算を事業サイクルに合わせた頻度でローリングし、より現実に合った財務目標に更新し続ける経営管理モデル。
ツーティア・テイクオーバー・ストラテジー(Two-tier Takeover Strategy) 二段階に分けてTOBをかけることをいい、二段階オファー(Two-tier offer)とも言う。最初のTOBで一定の(多くの場合は過半数)株式を取得し、支配権を獲得して、次のTOBですべての株式を取得して買収・合併を目指すこと。フロント・エンド・ローディッド・ツーティア・テンダー・オファーの項参照。
ディール(Deal) M&A案件のことを指すが、特に成立したものをディールと呼ぶ。各投資銀行やM&A仲介者はディールの件数と金額を競い合う。
ディール・メーカー(Deal Maker) ディール、すなわち企業買収・合併の仕掛人・主人公たちのことをいう。
テイクオーバー・ビッド(Take Over Bid :TOB) 株式公開買付けのこと。ある会社の経営権の取得や支配権強化を目的に行われる株の買い集めで、一定期間内に、一定数量以上の株式を、通常は時価を上回る価格で買い付けることを公表して売り手を募る買い付けの申し込みのこと。日本では友好的に行われることが多い。米語ではテンダー・オファー。
ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(Discounted cash flow method:内部収益率法・利益割引率法) 投資(買収価格+追加投資額)により得られる将来の予想キャッシュ・フローの現在価値と投資額が等しくなる割引率を求め、その割引率が大きいものほど有利だとする考え方で、この割引率が時間的価値も考慮に入れた真の意味での投下資本利益率であるといえる。あらかじめ売り手より価格の提示がある場合には有効な手法である。
ティン・パラシュート(Tin Parachute) ゴールデン・パラシュートに似たものであるが、被買収企業のより地位の低い従業員により少ない手当を支払うこと。ゴールデン・パラシュートの「お裾分け」。
適正市場価値(FMV, Fair Market Value)  当該企業に関する十分な情報と市況に基づいて算出される企業価値。シナジー価値は含めない。用いる企業価値評価方法によっても企業価値のレンジが変わる。
敵対的買収(Hostile Takeover)  被買収企業の経営陣の意向に反する買収のこと。日本では成功例は極めて少ない。
敵対的買収防衛策 (Hostile Takeover Defense) 敵対的買収を仕掛けられないための予防措置および仕掛けられた場合の対抗策のこと。 ポイズン・ピル、黄金株、ゴールデン・パラシュート、ホワイト・ナイト、パックマン・ディフェンスなどがある。
デットファイナンス(Debt Finance) 銀行借入や債券発行といった負債による資金調達のこと。デットとは負債を指す。通常、金融機関などから直接調達する方法が負債による資金調達であるが、金融・資本市場から、直接必要資金を調達する方法もある。また、負債なので、デットファイナンスによる借入は当然返済の義務を負う。デットファイナンスは貸借対照表において負債の部に入る。
デッドマンズ・トリガー(Dead Man’s Trigger) 買収をかけられた会社が、反対に相手の会社に対して買収をかけることで、パックマンと同じ。死に体となっているのになお相手に対して引き金が引かれている、という意味。
デュー・デリジェンス (Due Diligence) 買収前に実施する買収対象企業に対する詳細調査。買収監査ともいう。買収側の企業が、買収対象企業から提供される情報や交渉担当者の口頭での保証だけに頼ることなく、最終的な買収(クロージング)に至る前に、自ら及び公認会計士や弁護士などの専門家の手を借りてさまざまな角度から調査する、極めて重要な作業。通常、買収合意前に行われる前半のデュー・デリジェンスと、買収合意後クロージング前に行われる後半のデュー・ディリジェンスとがある。調査内容は買収対象企業のビジネスそのものから、会計、税務、法律、また海外事業がある場合は国際的な面などにまで、広範囲にわたる。
テンダー・オファー(Tender Offer)(米語) 株式公開買付け。英国ではテイクオーバー・ビッド、日本では略してTOBと言っている。支払にキャッシュあるいは証券を使い、直接株主に対して株式購入のオファーをすること。特に敵対的テンダー・オファーでは経営陣を飛び越えて直接株主に対してなされるため、企業の支配権獲得の有力手段となる。
トラッキング・ストック 特定部門や子会社の業績と連動する株式。企業統合・再編の手段の1つとして活用可能。

ナ行

内部収益率 (IRR, Internal Rate of Return) 投資利回りを測る手法で、NPV(正味現在価値)がゼロとなる割引率のこと。投資判断に使われる指標で、高ければ高いほどよい。
暖簾(のれん) 企業が有するノウハウ、立地等、他に代替できない無形の価値のこと。買収価格が売却企業の純資産額を上回る場合、その差額をのれん(代)と呼ぶ。新会社法施行以前は「営業権」と呼ばれていた。2006年度より、のれんの一括償却は原則禁止されており、のれんの取得後20年以内に規則的に償却し、各期の償却額は販売費及び一般管理費として計上する
ノン・ネーム・シート 売却対象企業の社名を伏せ最低限の情報(例えば、業種、社員数、売上、利益など)を記載した企業概要書。秘密保持契約締結前に売却先候補企業に提示される。1次情報、1枚ものともいう。

ハ行

パーチェス法(Purchase Method)  買収会社(合併会社)が被買収会社(被合併会社)から受け入れる資産・負債を、時価で評価して引き継ぐ会計処理方法。これにより算出された時価純資産額が買収金額を下回る場合は、その差額を営業権(のれん)として計上する。(⇔持分プーリング法)
パートナーシップ/パートナー(Partner-ship/Partner) 弁護士事務所、会計事務所及び投資銀行などがとっている経営形態。経営幹部がパートナーとして会社の出資者になっている。ただし、投資銀行は近年、自己勘定での債券・株式のトレーディングの増大や引受業務の競争激化で、資本の充実が不可欠となり、大手投資銀行の多くはパートナーシップの伝統を捨てて、株式の公開に踏み切るか大手企業の傘下に入っている。
パールハーバー・ファイル(Pearl Harbor Files) 敵対的買収から身を守ろうという経営陣が、事前に奇襲攻撃への臨戦態勢を整え、行動計画を検討しておく際の行動マニュアルのこと。自社の魅力的なデータを作り、いざというときに財務・販売データ、研究開発中の商品など企業秘密の重要書類をホワイト・ナイトに提示して説得工作をする。
買収監査 デュー・デリジェンスの項を参照。
買収契約書(Purchase Agreement) 買収価格やその他の条件について、売り手と買い手との間で最終合意に達したときに交わされる契約書。基本合意書によって合意された事項を基礎として交渉の結果、最終的な法的拘束力を持つ契約書として作成される。
買収ファンド(Buy-out Fund)  企業を買収し、買収後数年をかけて企業の価値を増大させ、その上で第三者へ売却や株式公開による投資資本の回収をはかる投資ファンドのこと。
買収プレミアム(Takeover Premium)  買収価額が適性市場価格(FMV)より高い場合、その超過金額のこと。
配当還元法 企業価値評価のインカム・アプローチの一つ。将来見込まれる配当の、現在価値の合計から株主価値を求める方法。Gordonモデルともよばれる。
バックエンド・ピル(Back-end Pill) ポイズン・ピルの一種で、これも買収が実行された場合、買収コストが非常に高くつくようにする防衛策。未発行の普通株式や優先株がないため、通常のポイズン・ピル策が取れない場合、標的企業側が株主に対して持株を債権もしくは現金と交換する権利を付与する。株式の一定比率が買い占められ、かつこの買収が、株主の権利に基づく債権・現金の交換価値より高い価格で速やかに実行されない場合に、この権利が有効になる仕組み。名目上は、株主の投資を保護する役目を持つ。
パックマン・ディフェンス (Pac-Man Defense) 敵対的買収防衛策の一つで、買収を仕掛けられた側の会社が、反対に相手の会社に対して買収を仕掛けること。
バリュエーション (Valuation) 企業価値評価の項を参照。
ビジネス・ジャッジメント・ルール(Business Judgements Rule) 経営判断原則。訴訟等において取締役の行為が妥当であったかどうかの疑いに対して、抗弁として使われる。経営陣が合理的な経営判断をしたと考えられる場合には、その結果の如何にかかわらず経営陣の株主に対する責任は生じないとする。例えば、市場価格より著しく高い価格でTOBのオファーを受けても、被買収によるメリットが少ないと合理的に判断されれば、TOBを受諾しなくても経営陣は責任を問われないとされる。
ビッド (Bid) 証券会社が投資家に対して提示する、株式の買値。あるいは売買注文を出す場合の、買い手側の希望価格。 
秘密保持契約 売り手、買い手、ファイナンシャル・アドバイザー間で,開示する重要な内部情報を第三者に漏洩させないために締結する契約。NDA(Non-disclosure Agreement)またはCA(Confidentiality Agreement)ともよばれる。
非流動性割引(Illiquidity Discount) 非上場企業の株式に対して用いられる、株式価値の割引。非上場企業の株式は市場に出回ることがないため流動性がなく、上場企業の情報と比べて相対的に信頼性が低い。そのため、非上場企業の株式は割り引かれて取引されることがある。
ファイナンシャル・アドバイザー(Financial Adviser)  投資銀行、M&Aブティック、会計事務所などM&Aにおけるアドバイザーのこと。
ファイナンシャル・バイヤー(Financial Buyer) 投資ファンド等、投資家からお金を集め、利回りを追求するために企業買収するM&Aの買い手。(⇔ストラティジック・バイヤー)
ファインダー M&Aの交渉代理人となったり、成約に向けての実務には携わらないが、M&Aのニーズを持つ会社を見つける、紹介する、ということをビジネスとして行う者。
フィー(Fee) 報酬のこと。一般にリテイナーフィーとサクセスフィーとに分かれる。
フェア・マーケット・バリュー (FMV, Fair Market Value) 適正市場価値の項を参照。
フェアネス・オピニオン(Fairness Opinion) 公正な第三者の意見。当事者とは全く利害関係を有せず、公正かつ衡平に客観的な立場で専門的見地から出された意見をいう。これまで日本には馴染まないものであったが、山一証券が破綻した事後処理に初めて採用され、その後の金融破綻処理にも利用されている。
ブック インフォメーション・メモランダムとも言う。M&Aの対象となる会社の基本情報を冊子にして、買い手候補となる企業に開示する。
フリー・キャッシュ・フロー (FCF, Free Cash Flow) 営業活動で回収したネットの現金収入から必要なすべての支出を差し引いたもので、「営業利益×(1-実効税率)+減価償却費-設備投資±運転資本の増減額」で計算される。
フリーズ・アウト(Freeze out) 閉め出すという意味。スクウィーズ・アウト(Squeeze out)とも言い、いったん買収会社が法律上十分な被買収会社の株式を取得すれば、買収会社は被買収会社の残った少数株主の承認を得ることなしに合併ができること。
ブリッジ・ファイナンス(Bridge Finance) 投資銀行や商業銀行などが買収会社に対して行う短期融資。短期であり、リスクも高いので通常の融資に比べて調達コストは高い。従って買収完了後はできる限り早く借り換えられる。
フリップ・オーバー/フリップ・イン(Flip-over/Flip-in) ポイズン・ピルの一種。フリップ・オーバーは買収された場合に買収企業の株式を標的企業の株主が例えば半額で買える権利のことをいう。フリップ・インは標的企業の株式の一定比率、例えば25%が買い占められると、買い占めをした株主を除いた残りの株主が標的企業の株式を半額で買える権利のことをいう。いずれも買収コストを禁止的なものにまで高める働きを持つ。
プロクシー・ファイト(Proxy Fight:委任状争奪戦) 敵対的買収において、企業支配を確立するための手段の一つ。株主総会において企業の取締役の選任、定款の変更、合併等の重要な事項の承認を得るためには、一般株主から議決権の委任状(プロクシー)を取り付けることが重要な手段となる。このような議決に関し、経営者側と、既に株主として姿を現した買収側との両陣営で、委任状の票を、おのおの争奪することをいう。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント PPMの項を参照。
フロント・エンド・ローディッド・ツーティア・テンダー・オファー(Front-end-loaded Two-tier Tender Offer) 先取り二段階オファー。買収企業が標的企業の支配権を得るために必要な株式(多くの場合、過半数)に対する買い取り価格のほうを、支配権を得た後に購入する残りの株式の価格よりも高く設定するテンダー・オファーを言う。前半のオファー価格を高くすることにより(フロント・エンド・ローディッド)、株主からの株式買い取りを効率的に進めることを目的としている。
ベア・ハッグ(Bear Hug) 買収交渉テクニックの一つ。羽交い絞め。標的企業の取締役会に対して、指定した条件で株式を取得したいと申込み、回答を迫ること。通常は回答に十分な時間を与えない上、もし拒否されればTOB(株式公開買付)をかけるという脅迫を含んでいる。相手を交渉に引きずり出すこと、及び、うまく行けば買収を受諾させることが狙い。
米国証券取引委員会(SEC: Securities and Exchange Commission) 1934年証券取引法によって設立された行政委員会。準司法的権限を有する。理事会のメンバーは大統領が上院の同意を得て任命する。テンダー・オファーや株式5%超取得によるディスクロージャーの書類などはSECが管理する。
ポイズン・ピル(Poison Pill)  敵対的買収防衛策の一つ。敵対的買収者が一定の議決権を取得した場合、買収者以外の株主に時価以下で新株(毒薬)を発行し、買収者の持ち株比率を低下させる方法。毒薬条項ともよばれる。
ホワイト・ナイト(White Knight)  敵対的買収防衛策の一つで。敵対的買収を仕掛けられた会社が、その会社と友好関係にある会社に、より有利な条件で買収してもらうよう依頼する場合があるが、その依頼先の会社をホワイト・ナイト(白馬の騎士)とよぶ。

マ行

マーケット・アプローチ (Market Approach) 企業価値評価の手法の中の株価倍率法や類似取引比較法等の評価方法の総称。他にインカム・アプローチやコスト・アプローチがある。
マーケット・リスク・プレミアム (Market Risk Premium) 株式市場全体への投資リターンから無リスク証券(長期国債など)への投資リターンを引いたもの。単にリスク・プレミアムともいう。
マネジメント・バイアウト(Management Buyout) 少数株主である経営陣や従業員が金融機関の力を借りるなどして自社の株式を買い取り、企業の経営支配権を得る方法。MBOの項を参照。
マンデイト(Mandate) 授権証書。一般に依頼書、依頼状とも言う。
持分プーリング法(Pooling of Interests Method)  買収会社(合併会社)が被買収会社(被買収会社)の資産・負債を簿価のまま、買収企業の貸借対照表に反映する会計処理方法。持分プーリング法では営業権(のれん)は計上されない。(⇔パーチェス法)

ヤ行

友好的買収 フレンドリー・テイクオーバーという。(⇔敵対的買収)

ラ行

リアル・オプション (Real Option) 金融工学のオプション理論を企業の実際の経済活動におけるプロジェクトや企業への投資評価に応用したもの。企業買収や資源開発プロジェクトなどの投資評価の際に使われる。
利子負債 会社が抱えている負債のうち、利子を加えて返済する必要のある負債の総額。取引上の未払い金や買掛金などは無利子で返済できるが、各種社債、借入金(短期・長期)、金融機関からの借入金などには利子が発生するため、借入、調達額以上の返済が必要となる。会社の財務体質の良し悪しを判断する有効な材料となり、この残高が大きければ、財務の健全性が損なわれていることを意味する。
リスク・フリー・レート (Risk Free Rate) 無リスク証券(長期国債など)の利回りのこと。
リスク・プレミアム (Risk Premium) マーケット・リスク・プレミアムの項を参照。
リスク・マネジメント リスクの発生予防に努め、リスクが実際に発生した時は被害を最小限にとどめるような活動の総称。
リストラクチャリング(restructuring) 経営資源の再構築・再編成。企業の経営成果が目標を大幅に下回る場合、経営者は再活性化のため、不採算事業からの撤退や売却、不採算事業部の分離あるいは統合・整理を行う。一方で、マーケットシェアの向上や新市場の開拓、新技術を確保して新製品を開発するといった拡大戦略や既存の事業に近い部分での新規事業進出、または異業種進出など多角化戦略を採り、企業の保有する経営資源を効率よく利益に結びつけるための再構築をいう。一般的にいう「リストラ」=「クビ切り」というのは本来の意味ではない。
リバース・デュー・デリジェンス(Reverse Due Diligence)  事業の売却を決定する前に、自社の事業についてデュー・デリジェンスを実施し、売却によって他の事業とのシナジーを失うことはないか、顧客を失うことはないかなどを精査すること。
類似取引比較法 企業価値評価のマーケット・アプローチの一つで、過去の類似のM&A取引を参考にして買収価格を算定する方法。過去に類似取引があったとして、それぞれのM&Aには個別要因があるため、あくまで参考とするのが望ましい。
レーマン方式(Lehman Formula)  M&A専門業者の間で使用されている一般的な報酬体系。移動した資産の価格に対して一定の割合を乗じて算出された価格を報酬として受け取る形式となっている。
レター・オブ・インテント(Letter of Intent) 基本合意書。買い手と売り手とが買収をとり進めることについて、基本的な合意が得られた時点で両当事者間で取り交わされる書類。条件等が詳しく書かれたものから、非常に一般的なものまで、さまざまな内容のものがあるが、通常は法的拘束力はない。しかし、買い手は拘束(タイ・ダウン)条項を含めることで、一定期間、売り手が他の買収候補企業と交渉に入ることを禁止させることは可能である。
レップ・アンド・ワランティ(Representation and Warranties) 表明及び保証と訳され、この文書を陳述書とも言う。デュー・デリジェンスで判明した事実について売り手が保証をすることで、デュー・デリジェンスでは得られなかった追加の情報を得ることができる。また、表明及び保証した事実に虚偽があった場合には、損害賠償の対象となったり、合併などの取消原因となるなど、法的な保護を得るという意味で買い手側にとってきわめて有益となる。これまでは買い手側に表明及び保証が求められることは少なかったが今後、株式交換によるM&Aが増えていくと考えられるので、売り手は株式の値下がりリスクを回避するため、買い手側の現在事業内容と将来性に関して買い手側の表明及び保証を要求することも重要となる。
レバレッジ(Leverage)効果 総資本利益率と他人資本利子率との差が自己資本利益率を増加させること。総資本利益率が他人資本利子率を上回る場合には、総資本の構成の自己資本と他人資本の割合において、他人資本を多くすればするほど自己資本利益率は高くなる。この効果が働いている場合、買収後に被買収会社の借入金を増加した資本金によって返済すると、被買収会社の自己資本利益率は低下することとなる。
レバレッジド・バイアウト (Leveraged Buyout: LBO) LBO(Leveraged Buy Out)の項を参照。
連結調整勘定 (Consolidated Goodwill) 子会社の資本勘定より高い金額で子会社株式を購入した時に連結財務諸表上にあらわれる勘定のこと。個別財務諸表では営業権とよばれる。
ロックアップ 買収の合意後、完了までの間に、第三者による買収の脅威を除くための買収会社・被買収会社間の取り決めをいう。買収会社に被買収会社の未発行株式を大量に買取る権利(オプション)を与える方法が、代表的なロックアップである。
ロックアップ・ストラテジー(Lock-up Strategy) 敵対的買収防衛策の一つ。敵対的買収を仕掛けられたときに、標的企業は防御策としてホワイト・ナイトに対して、企業のクラウン・ジュエルか株式を買取るオプションを与えることをいう。
ロング・リスト (Long List) 買収する企業を選定するにあたって、業種および定量的な基準(例えば、売上高、経常利益、従業員数など)などから数十社を選定した企業リストのこと。

ワ行

ワラント(債) 新株引受権のこと。
割引率 (Discount Rate) 企業価値評価の際に、将来のフリー・キャッシュ・フローを現在価値に割り戻すときに使用する率のこと。資本コストまたは期待収益率ともよばれる。

英数字

5%ルール 発行済株式総数の5%を超えて取得した者は、株式を買い付けた者の明示、買付の目的、資金源の明示などの情報を含む情報開示をしなければならないとする規制。取得した者は、取得日から5日以内に内閣総理大臣等に対して大量保有報告書等を提出しなければならず、またその保有割合が1%以上変動した場合にも変更報告書を提出しなければならないとする制度。(ウィリアムズ・アクトの項参照。)
APV法 (Adjusted Present Value Method) 企業価値評価のインカム・アプローチの一つで、事業部門毎にフリー・キャッシュ・フローと事業資本コストと割り出し、事業部門の価値を求める。
CA (Confidentiality Agreement) 秘密保持契約の項を参照。
DCF法 (Discounted Cash-flow Method) 企業価値評価のインカム・アプローチの一つ。企業が将来生み出すフリー・キャッシュ・フローを、割引現在価値率から算定する。割引率が大きいものほど有利だとする考え方で、この割引率が時間的価値も考慮に入れた真の意味での投下資本利益率。あらかじめ売り手より価格の提示がある場合には有効な手法である。
EBIT (Earnings before Interest and Taxes) 利息・税引き前利益のこと。
EBITDA (Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization) 利息・税金・償却(減価償却およびその他償却)前利益のこと。
EPS (Earnings per Share) 一株当たり利益。当期純利益を発行済株式数で割って求める。
ESOP(Employee Stock Ownership Plan) イソップの項を参照。
EVA 経済付加価値。アメリカのコンサルティング会社スターン・スチュワート社が開発し商標登録している企業評価の指標。税引き後の営業利益から税金や配当金、金利などの資本コストを差し引いて算出され、企業が資本を使って生み出した価値を示す。資本コストを利益が上回っているとEVAはプラスになりその企業は経済価値を生み出しているということになる。EVAを利用することのメリットとしては、資本コストを明示的に考慮していること、経済判断を端的に表していること、株式評価指標として有用であることなどがあげられる。
FCF (Free Cash Flow) フリー・キャッシュ・フローの項を参照。
FMV (Fair Market Value) 適性市場価格の項を参照。
IAS(International Accounting Standard) 国際会計基準の項を参照。
IPO (Initial Public Offering) 未上場会社の株式を証券市場(株式市場)において売買可能にすること。株式公開ともいう。かつて日本証券業協会(JASDAQ)の登録銘柄となることを上場と区分していたが、ジャスダック証券取引所の発足とともにその区分は廃されている。
IR(Investor Relations) 投資家向け広報。具体的にはアナリストやファンドマネジャーを集めたIR説明会が中心となる。
LBO (Leveraged Buy Out) 企業を買収する方法の一つ。買収側が自己資金をわずかしか保有していなくとも、多額の借入金により調達された買収資金をもとに、標的となる会社または会社の一部門を買収する方法を言う。そのため、手持ち資金が少なくても企業の買収が可能となる。通常、借入金の担保となるものは買収対象会社の資産やキャッシュ・フローであるところから、この借入金の一部返済のために、買収後直ちに被買収会社の資産の処分や、買収側にとって不要な事業部門が売却されることがある。
M&A (Mergers and Acquisitions) 企業の合併(Merger)と買収(Acquisition)の略語。現金による株式買収、株式公開買付(TOB)、第三者割当増資の新株引受、事業譲渡、株式交換、株式移転、合併などの方法がある。
MBI (Management Buy In) MBOの形態と似ているが、買収過程において金融機関やベンチャー・キャピタル等の出資者、債権者が企業に新たな経営陣を送り込み事業を継続、発展させる手法。
MBO (Management Buy Out) 現行の経営陣や従業員が金融機関などから資金を調達して自社の株式を買い取り、経営権を得る方法。企業の中にある事業部門を独立させたりする場合などに用いられる。
NDA (Non-disclosure Agreement) 秘密保持契約の項を参照。
NPV (Net Present Value) 正味現在価値の項を参照。
PAI (Post Acquisition Integration) 企業買収後のオペレーション、管理業務、人事制度、情報システム等の統合作業のこと。
PBR (Price Book-value Ratio) 株価が1株当たり純資産(株主資本)の何倍まで 買われているのかを示すために、株価を1株当たり純資産(株主資本)で除して求められる指標のこと。株価純資産倍率ともいう。
PER (Price Earning Ratio) 株価が企業の収益の何倍まで買われているかを示すために、その株価をEPS(一株当たり利益)で除して求められる指標のこと。株価収益率ともいう。
PMI (Post Merger Integration) 企業合併後のオペレーション、管理業務、人事制度、情報システム等の統合作業のこと。
PPM(Product Portfolio Management) 企業が事業の組み合わせを最適化するための考え方。企業が展開する複数の事業について、(1)まだ育成すべき段階にあるのか、(2)現在の取り組みを維持・継続する段階にあるのか、(3)事業への投資を抑えて収益を回収・収穫する段階にあるのか、(4)撤退する段階にあるのかを見極める際に用いられる。
Qレシオ(Q-ratio) トービンのQレシオとも言う。企業買収の有利性を判定する比率で、買収対象会社の株式の市場価格とその会社の保有する純資産を再調達価額に基づく時価に洗い替えたものの割合をいう。
ROA (Return on Asset) 総資産利益率。企業の利益を総資産で除して求められ、企業が資産をいかに有効利用して、利益に結び付けているか収益性を示す指標。
ROE (Return on Equity) 株主資本利益率。企業の利益を株主資本で除して求める期間利益の割合のこと。企業が株主資本をいかに有効利用して、利益に結び付けられたかをあらわす指標。
SEC 米国証券取引委員会の項参照。
TOB (Takeover BidまたはTender Offer Bid) テイクオーバー・ビッドの項参照。
WACC (Weighted Average Cost of Capital) 加重平均資本コスト。株式に関する資本コストと有利子負債に関する資本コストを加重平均した割引率のこと。